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マンション建替事業 都市再生を旗印に、老朽化マンションの蘇生に挑む。
全国初のデベロッパーによるマンション建替え認可事業。
既存不適格物件と隣接敷地との共同開発を模索。
一番のネックになったのは建替え費用だった。
すべてを代行することで居住者の不安を一掃。
全国から注目を集めた初の試み。
都市再生を旗印に、老朽化マンションの蘇生に挑む。
 
いま、日本の高度成長期を支えた住まいが悲鳴をあげている。現在25万戸といわれる築35年を超すマンションが、2010年には約100万戸に達するのだ。 もちろん、その多くは建替えなければならない。耐震基準、広さや間取り、住宅設備などなど、住まいに求められる品質を現在のレベルに合わせるためには、 リフォームだけでは対応できないのだ。この時代の要請ともいえる住まいの再生へ、伊藤忠都市開発はデベロッパー主導の認可事業として日本で最初に取り組むとともに、 新たな住まいづくりの可能性を切り拓いたのである。 伊藤忠都市開発(株) 都市住宅事業部 村上 新 伊藤忠都市開発(株)
都市住宅事業部
村上 新
全国初のデベロッパーによるマンション建替え認可事業。
東急田園都市線・桜新町駅から徒歩5分。閑静な住宅街にある瀟酒な8階建て57戸のマンションは、2003年当時エレベータもない4階建てに24世帯が暮らす老朽マンションだった。この『桜新町グリーンハイツ』の再生を担ったのが、現在は伊藤忠都市開発のマンション建替事業室を率いる室長の村上新である。「2002年に『マンションの建替えの円滑化等に関する法律』が施行されて、マンション建替えの要件が大きく緩和されました。でも、施行後もこの法律に基づくデベロッパー主導の建替えは行われていなかったんです」。そこに風穴を開けたのが、マンション権利者の同意をもとに伊藤忠都市開発が事業主体となる個人施行という形態で進めた、このプロジェクトだった。村上が取り組んだ、この『桜新町グリーンハイツ』の建替えプロジェクトは、全国初の事例として大きな注目を集めた。
既存不適格物件と隣接敷地との共同開発を模索。
 
村上は言う。「実は隣地をマンション用地として購入済みでした。ただ、そこは約400坪で必ずしも十分な広さではありません。 一方、『桜新町グリーンハイツ』の敷地は約300坪。一緒に開発すれば規模を大きくできるし、街づくりにも貢献できる。 居住者の方にとってもメリットが大きいと、こちらから積極的に働きかけたのです」。 それまでの『桜新町グリーンハイツ』の住戸は40m2〜60m2。 手狭なうえに、修繕金の積み立てが不足し、既存不適格の物件でもあった (既存不適格とは、建築当時は法規に合致していたものの、その後の法改正により、現在の法規の基準を満たさない建築物をいう)。いずれ建替えせざるを得ないが資金がない。 居住者の不安も大きかった。 イトーピア桜新町グランピークス イトーピア桜新町
グランピークス
一番のネックになったのは建替え費用だった。
 
村上らが動き出したのは、2003年2月のことだった。居住者全員に個別に足を運んでは、合意形成に努めていった。 「まず現状のまま建替えたとすると既存不適格ですから、居住面積が狭くなってしまう。 またリフォームするにしても、とくに水回りは全面改修が必要でしたから、500万円から1000万円近くかかる。 わたしたちの試算では、リフォームよりも多少費用は増えるものの、居住面積が広くなるうえに耐震性などの安心感は大きくなるし、快適性も格段に良くなる。 リフォームで済ませるか、それとも建替えるかの選択ですが、一つずつ説明してご理解をいただくよう説得を重ねました」。 一番のネックはやはり、費用だった。居住者の大半は30年以上住み続けており、高齢者も多い。年金だけが頼りの人にとっては、費用の捻出がままならなかったのである。 さらに建替え期間中の住まいの確保をはじめ、そのための費用や新たに融資を受けるための申し込み手続きなどの煩雑さに、居住者は難色を示した。 イトーピア桜新町グランピークス(エントランス) イトーピア
桜新町グランピークス
(エントランス)
すべてを代行することで居住者の不安を一掃。
 
そこで村上らは、地権者からの信頼のもと、すべての手続きを代行するとともに建替え費用を一時立替えるというきめ細かな対応を行った。すべてを代行することで不安感が一掃され、合意形成へ弾みがついた。建替え費用についても、極力出費が少なくなるようプランニングに工夫を凝らしていった。「平均して70m2程度には広げますから、ある程度の出費はやむを得ません。でも、等価交換の手法を援用しながら、居住者の持分を最大限に生かせるプランニングとなるよう苦慮しました」。独自のノウハウを駆使した努力が実り、合意形成までの期間はわずか半年。これほどの短期間で合意形成を得ることができたのは、まさに奇跡だった。「毎日のように現場に足を運び、折衝を重ねましたからね。他の現場の5年分は働いたと思います(笑)」。 イトーピア二子多摩川レジデンス イトーピア
二子多摩川レジデンス
全国から注目を集めた初の試み。
 
こうした奮闘が実り、わずか2年後、2005年に『桜新町グリーンハイツ』は新たにマンション建替え円滑化法に基づく全国初のマンション、『イトーピア桜新町グランピークス』として生まれ変わった。メディアが一斉に取り上げ、問い合わせが殺到した。「老朽化したマンションの存在は、やはり大きな社会問題になっていることを実感しています。わたしたちの経験やノウハウを、そうした問題の解決に役立てていきたいと思います」。
マンション建替事業と一口にいっても、求められる仕事は多岐に渡る。複雑にからみあう地権者のニーズに耳を傾け、合意を形成するビジョンを描き、しかもそれをビジネスとして成立させるためには、デベロッパーとしてのトータルなチカラが試される。住まいのすべてに関わるコンサルティング能力が求められ、法律的な知識をはじめ、建築デザイン、税金や管理など、実に幅広い経験値が必要なのである。「私の不動産業界でのキャリアは17年ですが、そのすべてを投入して仕事を進めました。建替えが終わり、皆様がトラブルなく再入居していただいた時には、本当にほっとしました」。現在、伊藤忠都市開発のマンション建替事業室では、全国第1号プロジェクトに続く全国第2号プロジェクトや、日本最古の公団分譲マンションの建替えなど、首都圏で複数の建替プロジェクトを手掛け、日本の住宅再生事業のフロントランナーとして業界をリードしている。
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