歴史に触れる、未来へ伝える RESTORE

ステンドグラス
修復への想い

舞子ホテル写真(2022年8月撮影)

もてなしの心を纏ったレガシーの継承

海運業で名を馳せた日下部久太郎の
迎賓館兼別邸として建設された舞子ホテル。
約100年もの間、人々に親しまれてきた建物は、
意匠性に富んだデザインをしており、
なかでもステンドグラスが印象的でした。
「クレヴィアシティ神戸舞子駅前」ではその意匠を受け継ぎ、
未来へと伝えていくために、
ステンドグラスを修復し、共用部に移設することになりました。

INTERVIEW

Q1

舞子ホテルのステンドグラスを修復、移設するに至った経緯をお聞かせください。

「クレヴィアシティ神戸舞子駅前」の設計にあたって当時の舞子ホテルを訪れた際、ステンドグラスが特に印象的で、是が非でもその意匠を継承し、デザインしていきたいと思いました。 その後、協議を重ねていく中でこの歴史的意匠を残したいと願い、ステンドグラスの修復、そしてマンションに移設するというおそらく前例を見ない事業となりました。

株式会社長谷工コーポレーション

大阪エンジニアリング事業部

中田達也さん

長谷工コーポレーションから
『ステンドグラス修復』のバトンを受け取った、装飾ガラスのエキスパートである
中日ステンドアート。
ステンドグラス修復への想いや
困難を極める作業プロセスなどについて
お話をお聞きしました。

株式会社中日ステンドアート

代表取締役社長

山本和徳さん

株式会社中日ステンドアート

ステンドグラス課 制作チーフ

齋藤雅也さん

Q2

舞子ホテルのステンドグラス修復を受注されたときの想いをお聞かせください。

舞子ホテルに伝わるステンドグラスは、日本のステンドグラスの黎明期を支え、『日本のステンドグラスの祖』いわゆるレジェンドと称される宇野澤辰雄氏の作品です。
まさに『私たちがやらねばならない、私たちにしかできない 』という強い使命感でいっぱいでした。
そして、約100年の時を超えて受け継がれたこれらの作品は、その希少性、歴史的・文化的価値から、単なる建物の装飾ではなく、後世に残すべきレガシーであると強く感じました。
作品の状態は非常に脆弱で修復は困難を極めると考えましたが、この貴重な作品を次の100年へつなぐため、修復に挑戦することを決意しました。

宇野澤辰雄

日本で最初のステンドグラス作家。国会議事堂、横浜開港記念会館、大阪中之島図書館をはじめ、箱根富士屋ホテル食堂や舞子ホテル、軽井沢万平ホテルなど。『和製ステンドグラスの祖』にふさわしい作品を残しています。

Q3

ステンドグラス修復の対象作品とそれらの状態について教えてください。

今回の修復プロジェクトの対象となっているステンドグラスは、舞子ホテルのエントランスなどに設置されていた、以下の主要作品です。

  • 風除室の作品
    「松と帆掛け舟」
  • オーナーズサロンの作品
    「夜のフクロウ」
  • ステンドグラスラウンジの作品
    「幾何学模様」
舞子ホテル写真(2022年8月撮影)

作品全体の状態ですが、約100年の歳月を経て、ガラスを繋ぐ鉛のケイム(つなぎ材)は白く粉を吹くほどに腐食し、その影響でガラスパネル全体に大きな歪みやたわみが生じていました。

また、ガラス自体にも無数のヒビや欠損が見られ、当時の手作りガラスは現在製造されておらず入手が不可能なため、通常であれば修復が極めて困難な状況でした。

Q4

修復中に苦労した点、改善した点はありますか。

苦労した点は多岐にわたりますが、特に克服に注力し、成果を上げたのは以下の点です。

1.鉛ケイムの腐食とパネルのたわみ最も大きな課題は、粉を吹くほどに腐食した鉛のケイムと、それによるパネル全体の大きな歪み(たわみ)でした。これは、先述の通り、ガラスを傷つけないよう時間をかけてお湯で戻す矯正作業と、全ての鉛のケイムを新しいものに交換することで克服しました。

2.ガラスのヒビ・欠損への対応無数に入ったヒビや欠損への対応です。単に修理するだけでなく、作品の価値を損なわないよう、色の再現性に細心の注意を払いました。当時のガラスの色を特定し、残された断片を組み合わせる『移植』などの高度な職人技によって、オリジナルの美しさを蘇らせました。

3.輸送と設置への配慮修復後もレガシーとして長く残すため、輸送時の揺れや、マンションへの取り付け時、取り付け後の衝撃に耐えられるよう、補強を施しました。これにより次の世代までこの輝きを届ける耐久性を確保しました。

Q5

最後に本プロジェクトに入居される方へのメッセージをお願いします。

舞子ホテルから受け継がれたステンドグラスは、単なる歴史的装飾ではなく、この地で育まれてきた『もてなしの心 』、そして『 100年を継ぐレガシー』そのものです。
「クレヴィアシティ神戸舞子駅前」にご入居される皆様は、そのレガシーを、毎日の暮らしの中で受け継いでいく語り部となります。

エントランスやラウンジを飾るステンドグラスの輝きは、宇野澤辰雄氏の技術とこの地の歴史、そして私たち修復チームの『想い』が結実したものです。
この輝きが、皆様の日常に温かさと彩りを添え、この場所でのとっておきの舞子時間をより心地よいものにすることを心から願っています。

エントランス完成予想CG※1
オーナーズサロン完成予想CG※1
  • ※1.共用施設に描かれているステンドグラスは、旧舞子ホテルからの移設または複製を予定しており、今後施工上の理由等により完成予想CGと実際とは異なる場合があります。
  • ※掲載の各完成予想CGは、計画段階の図面を基に描き起こしたものであり、形状・色彩・外構・植栽等は実際とは異なる場合があります。形状の細部・設備機器・配管等は省略または簡略化しております。今後、行政指導・施工上の理由により計画に変更が生じる場合があります。